2003年、秋田県指定無形文化財保持者だった秋田八丈最後の工房が廃業しました。
それから3年、講師畠山好子さんの妹でもある、最後の職人の奈良田登志子さんが伝統を受け継ぎ、北秋田市に秋田八丈「ことむ工房」を開きました。
秋田八丈は、ハマナスの根を染料として、「とび色」という独特の茶色を出し、荒々しさと素朴さと強さを備えた織物です。
伝統を守りつつ、現代に生き残っていくために新しいことにも挑戦しながら、国産絹100%のプライドを大切にしていると畠山氏は話します。
これは、大変手間の係る仕事で、最初の工程から反物になるまで3ヶ月を費やします。大量生産はできず、ひとつとして同じもののない作品は子供のように思えるそうです。
秋田県講師会会員の佐々比呂子さんがモデルになった着物は、縦糸を黒と黄色、横糸は黄色を使って織り上げたもので、色味を抑えた色調の中にモダンさを兼ね備えた着物です。
同じく佐々木朝子さんがモデルの秋田八丈は、新しい試みで無地を織り、すそ模様にぶどう柄を描いています。ぶどう柄は「すずなり」といって縁起がいいとされています。ちょっとよそゆきの着こなしです。
続いて登場は県講師会副会長の鎌田麗子さん、黒と黄色の縦糸に黒の横糸を配したダークで個性的な色調の着物で、きりっとした印象を受けました。
この他、秋田八丈は、全国植樹祭のアルバムの表紙に使われ、宮内庁にお納めしたことや住職の袈裟などが紹介されました。
3人のモデルさんは、写真撮影に引っ張りだこ、受講者は近寄って手に触れて感触を確かめていました。
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