第32話

カルチャーショック

驚いたのはダラスの郊外にある「グリーンハウス」という全身美容院へ行ったときでございます。ここは一週間泊まって、全身美容をやって1000ドルなのです。360円の固定相場制でしたから、当時の日本円にしますと、一週間36万円の全身美容院なのです。広い敷地にバラが美しく咲き、瀟洒(しょうしゃ)な白亜の建物は、花の香で一杯でした。絵画、陶器棚、応接セット・・まるで宮殿のようでした。
「ここは男子禁制で、一週間目に、見違えるように美しくなったご夫人を、ハズが迎えにくるの・・・」
という説明でした。「どんな旦那様でしょう」と思いました。ご夫人を美しくするために、こんな大金を惜しみなく払ってくれるなんて・・と思いました。

白亜の中は、ベッドルーム、グリーンの間、真珠の間など、中二階にはプールもあって、その回廊は百花が咲き乱れていました。全身美容室はトルコ風呂、水圧の部屋、ベルト四輪ペタル式、。チャームスクール、フェイシャル室などあらゆる設備が整っていました。

社交室にはアクセサリー、服飾の相談室などがありましたし、図書室、音楽室などグリーンハウスは女の夢のような国だと思いました。日本では卵一個が1円でも高いの安いのとやりあっているのです・・・日本はこういう国と戦っていたのか、とそれはそれは、大変大きなカルチャーショックでございました。いまは、どうなっているものでしょうか。

 

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