第25話

心の支え「素心会」

 

最近、人間は自分の「好きなもの」を発見して、こつこつ努めた人と、そうでない人との差は、年を取ってから現れてくる----という話をよく聞きます。
全くそうだと思います。

わたしは若いころから「絵」が好きでした。
女学生時代、同じの家に住んでいた晋作さん(後で代議士になった方)に代わって、宿題の絵をかいてやったほどです。
美容をはじめてからは「デッサン」などで、ますます「絵」が大事になってきました。

秋田市に開業して何年くらい経ってからでしょうか。

秋田市に「素心会」という絵のグループがありました。
花岡清陽さん、近藤兵雄さん。図書館長の豊沢さん。秋田魁新報社長や秋田市長をなさった武塙三山さん。文化財の権威だった奈良環之助さん。小番政吉さん。高橋嘉エ門さんなどがいました。
みんな懐かしい方々ですが、あの当時の人で残っているのは、わたし一人になりました。
さみしいものでございます。

「素心会」というのは昭和六年に「破調会」として出発した団体で、昭和15年に「素心会」と名前を変え、戦後もサロン的雰囲気の伝統でずうっと続いている「絵」のアマチュアグループです。

武塙さんも奈良さんも、皆さん、素人の域を越え、それぞれが風格のある絵をお描きになっていました。
塙さんの「べごこ」は絶品でした。
それにお茶を飲みながらの会話、これがわたしの心をどれほど高めてくれたか分りません。

絵の福田豊四郎さんとは、親同士の知人で、わたしも若いときから親しくしておりましたが、わたしが出品作品を描くようになりましたのは、渡辺浩三先生にデッサンをお習いし、中村隆生さんから油絵の指導を受けてからです。
趣味のすばらしさ、絵を描いているいる時間は美容とはまた違った「至福の時間」でございました。

わたしがアメリカへ行ったとき、お世話になった方々に一番悦ばれたのはわたしの「草絵」でした。
こつこつと「好きな道」を歩むということは、やはりすばらしいと思うのです。
趣味に年齢などはございません。
輝いているために「趣味」をお勧めしたいと思うこのごろでございます。

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